白いインクで活版印刷を施した、手のひらサイズの白い箱。
花の種と、それを育む土が入っています。箱は耐水性のある丈夫な紙を使用しています。
「THE SEED」と名付けたこのアイテム。そのコンセプトは、「言葉のはじまりと、花のはじまり」。
人の想いを伝えるための印刷技術。そのはじまりは「活版印刷」。人の手仕事のぬくもり、凸凹の跡が残る技術です。
人の心を魅了する色とりどりの花。そのはじまりは一粒の「種」。
言葉を伝える技術のはじまりと、花のはじまり。
ふたつのはじまりを、ひとつの箱に閉じ込めた贈りもの。それが「THE SEED」です。
種と土が入った箱には、たった一文のメッセージ。
「きみが死ぬ日も花は咲くから、私は、この星が好き。」
詩人・最果タヒさんの言葉を、白いインクで繊細に表現しました。
堅さをもった紙の独特の手触り、活版印刷特有の凹凸、インクの質感と匂い。
この箱ひとつに込められたあらゆるものは、
人の気持ちのように儚く、一輪の花のようにさりげないけれど、その確かな意志を感じとってほしい。
何の花が咲くのかは、秘密。
どんな花が咲くのか、想像する楽しみを、日々の暮らしに取り入れていただきたいです。
誰もが知っているその花の「はじまり」=「種」を育てることで
あなたらしい花との向き合い方や、豊かな時間を過ごせるはず。
「THE SEED」を販売するのは、多くのトレンドや情報が行き交う表参道。
表参道ヒルズ地下のフラワーショップ・DILIGENCE PARLOURから、あなたに贈ります。
75×75×75mm 、1200円(税込)
ディリジェンスパーラーが流通するプロダクトは、ディリジェンスパーラーの精神性に共通するものでなくてはなりません。
今回は、構想の段階から参加させて頂いたので、プロダクトが、元々の自店が目指すものに近いところに位置するものが制作できたと思います。
イメージを、具体的に現実に落とし込むのがデザインの役割だと考えているので、普段、自店だけではできない制作物を、よりディリジェンスパーラーらしく提案することができました。最果タヒさんのご協力もあり、プロダクトを通してファンタジックな時間が提供できるかと思います。
日常の中に価値のある時間を提供することを、意識的にできる機会かと思うので、花と生活、もそうですし、印刷と生活、とか、何かと生活のコンビネーションを、バリエーションで提案できたら面白いなと思います。
誰もが知っているような花を、芽が出るところから育てることで、花に対する解像度が一新されるかと思い、選びました。
活版印刷とは、金属などで専用の版を彫り込み、それに塗料を塗り、紙に押し込んで印刷する技術のことです。最近ではデジタルデータを読み込んで印刷する「オンデマンド印刷」などが主流です。
そういった印刷物に対し「活版印刷」がされたものは、アナログっぽく、人間味があると感じ、好む人が多いようです。特に版を押し込む際にできる独特の凹みが「活版印刷」の人気の大きな理由です。
しかしそういったアナログ感のある印刷手法が人気の一方、デジタルデータを用いた印刷に比べて印刷再現性が低く、小さな文字や網点、線などの細かい出力に難があるのが弱点です。
活版印刷で白いインクを使用し印刷するのは、とても難しいことです。
「空押し印刷」では、箔押し機で印刷作業を行います。上下動で加工することで圧をかけるので、活版印刷に比べてはっきりと凹みができます。
一方「活版印刷」で用いる機械は、本来は凹ませるための構造ではありません。印刷する紙とは別に、支えとして紙を多くつけるなどして圧を調整しています。
空押し印刷と活版印刷では、似たような見た目でも使用する機械や、その目的が違うのです。