BRANDING ART DIRECTION GRAPHIC
キッチンをインテリアとして捉える書籍「REAL KITCHEN&INTERIOR」に掲載した、業務用厨房機器でトップクラスのシェアを誇るタニコーの高級オーダーメイドステンレスキッチンブランド「マイスデル」の広告。知的で洗練された雰囲気のキッチンにはファンがいる一方で、ブランドのアイデンティティが明確に定義されていないことで消費者の選択肢にあがりにくいことが課題でした。そもそも、オーダーメイドキッチンは差別化が難しい商品。家具を買うように、インテリアの側面からオーダーメイドキッチンを捉えることで独自性を明文化できないかと考えました。
注目したのは、一つの作品のように昇華された美しい佇まい。ステンレスキッチンは汚れにくく永久的に使えるといったように機能性で語られることが多いですが、マイスデルの哲学は「日本のクラフトマンシップが織りなす高い加工技術力により、まだ世界にはないキッチンを作ること」。つまり、まだ世界にはない美しさを技術力の高さによって作り出すことと解釈し、マイスデルのキッチンの独自性を匠の技に裏打ちされた「ARTFUL STAINLESS(芸術的なステンレス)」と定義。「眺めたくなるステンレス」とライフスタイルを真ん中に置いた情緒的価値を広告表現のコンセプトとしました。
まるで部屋に花を飾るように、オーダーメイドキッチンを買う。表現したのは、ライフスタイルの中にあるアート感です。料理する人の目線ではなく、リビングからの目線で切り取ることで、インテリアとしてのキッチンをビジュアルで設計。ただ料理をする場所ではなく、ライフスタイルの風景であり、その人の感性を紡ぐ居場所としてのキッチンというビジュアルを意識し、光と影がつくる陰影をアクセントに“眺めたくなる美しさ”が見えるよう、撮影・デザインしました。また、ボディコピーを英訳し、デザインの一部とすることでアートフルな空気感を増幅させています。
CLIENT:tainco
ART DIRECTOR:Hiroki Inoue
COPYWRITER:Saori Toya
PRODUCER:Toru Uemura