『SDGsこども本だな 4』
性を理由に差別されない世の中に。

Hiroki Inoue / Art Director

2021.05.14

「SDGsこども本だな 4」

SDGs17の目標にまつわる絵本・児童書を並べていく「SDGsこども本だな」。今回のprat4は、目標5「ジェンダー平等を実現しよう」に向けた本をご紹介いたします。 

前回の目標「教育」に続き今回の「男女平等」も含め、この2つの目標は人類誰もが等しく与えられるべき権利「人権」に関わるものです。特別なことではない、本来なら目標にさえならずに、当たり前の世の中にならないといけない、そんなことを子どもたちには伝えるべきなのではないでしょうか。

https://www.amazon.co.jp/dp/4251014340?tag=note0e2a-22&linkCode=ogi&th=1&psc=1

原作は40年前にスペインで発刊されたもの。民主主義への一歩をふみだそうとしていた当時、これからの社会を子どもたちに考えてもらうために作られた1冊であった、というまえがきから始まります。


「えらい女もいれば、弱い男もいる」「かしこい女もいれば、おろかな男もいる」「ゆうかんな女もいれば、おくびょうな男もいる」「もちろん、えらくて、かしこくて、ゆうかんな男もいる」つまりは頭のよさや地位、性格は、性別とはなんの関係もない。


でも男女の違いはどこからくるのか、子どもの時からの扱われ方が違う、遊びも違う、着る服も、かけられる言葉も違う。そんな男女の違いをちょっと風刺めいたユーモラスなイラストで説明されています。文章を読まなくても、イラストだけでもその意図がしっかり伝わり、子どもにも理解しやすい1冊です。


発刊当時に比べれば、今の世の中はジェンダーに対する意識も大きく変わってきたと思います。しかし、今だ読み継がれ、男女平等への目標が掲げられる今日があるという事は、まだまだ性の垣根を超えてお互いを理解しあうことが必要なんだと考えさせられます。タイトルが「女と男」という並びになっているのも作者の意志を感じさせます。

https://www.amazon.co.jp/dp/4864121168?tag=note0e2a-22&linkCode=ogi&th=1&psc=1

「レッド」というラベルを纏った青いクレヨンが主役の話。
「レッド」が消防車を描こうとしても青い消防車になり、イチゴを描こうとしても青いイチゴになってしまいます。
そんな「レッド」は、赤く描けないことに悩みます。他の色のクレヨン達も赤いラベルを纏った「レッド」は赤色を描けるはずだと思い込んで、「もっとがんばれ!」と喝をいれたり、「きっとできるよ」と励ましたり皆口々に声をかけます。
ある時、どんな絵を描いても赤を描けない「レッド」に、ひとり(一本)の友達が「ぼくのふねにうみをかいてくれる?」と声をかけます。すると「レッド」はいとも簡単に海を描くことが出来ました。
最後には青空いっぱいの空も描くことが出来た「レッド」。自分は赤ではなく、青であったことが分かった「レッド」はそれまでの悩みが一気に吹き飛び、生き生きと「青」を描いてゆくのでした。


外見だけで人を判断してはいけない。こうあるべきだという固定観念や先入観で相手を見てはいけない。そんなことを1本のクレヨンに置き換えて、伝えてくれる1冊です。


幼児期の頃は、男女、国籍、肌の色の違いなど、そんなのお構いなしに友達と遊んだりするのですが、いつしか、固定観念を持ってしまう事実があると思います。それは、価値観の違い、文化の違い、言語の違いなど様々な要因が重なり、ひとつの観念が出来てしまうからなのでしょうか。
純粋な目を持った幼児期から、様々な経験、知識を得て歳を重ねることで、ある価値観が出来上がり、いつしかそこには差別や偏見が無意識的に生まれて来るのかもしれません。


経験や知識を積み重ねることは、人生において大変素晴らしいことですが、一方で純粋無垢で透き通った心はいつしか失われてしまうものです。
男女の差別や偏見を無くすには、子どもが持つ純粋さを忘れずに、常に心の片隅にでも持っておくことが必要なのではと、考えさせられた1冊です。


ジェンダーに関して、子どもにわかりやすく伝える1冊として薦める一方で、実は大人達が子どもから学ばされることがあると思った1冊でした。

noteにて「SDGsこどもデザイン」を連載中です。
https://note.com/kodomotomirai