Branding

奄美大島から世界を目指す新スキンケアブランドの挑戦。

自社農園で養蚕した国産シルクを使用した、奄美大島発の新スキンケアブランド「ADAN SILK(アーダンシルク)」。SUQQU、THREEを立ち上げた石橋寧氏をブランドプロデューサーに迎え、約半年という短期間でブランドをローンチ。伊勢丹新宿店の「ISETAN BEAUTY WEEK 2025」での先行発売を実現しました。将来のグローバル展開を視野に入れ、何から着手し、どうブランディングを進めたのか。ローカルの新ブランドならではの戦略を紹介します。

  • CLIENT:ADAN
  • Category:BRANDING/ART DIRECTION/GRAPHIC/LOGO/PACKAGE/DISPLAY/EVENT/WEB

BACKGROUND

繭に触れている手は美しい

深い青色の海、サンゴ礁、マングローブの森など自然と豊富な水に育まれた鹿児島県・奄美大島は、大島紬の生産で繁栄してきました。大島紬は、千年以上に及ぶ歴史の中で培われた伝統技法で作られ、繊細かつしなやかな美しさで人気の絹織物。世界三大織物にも数えられています。
南国の強い日差しと潮風にさらされても、繭に触れている女性たちの手が不思議と艶やかで美しいため、島では古くから「繭を洗うと、手がキレイだね」という意味の言葉「マユ アラウィバ ティガ キョラサヤァ」が語り継がれてきました。
その島で、ADAN創業者の西里依氏は、肌が荒れたり化粧品の成分が合わず体調を崩したりして悩んでいました。肌を本当にキレイにできる化粧品を安心・安全な原料で作りたいという想いを抱き、大島紬の織り手としての経験から、絹をスキンケアに活かせないかとも考えていました。

PRODUCT DEVELOPMENT

シルクの力をスキンケアに応用

ある日、西里依氏は女性の肌に対するシルクの可能性を知り、大学で医学に携わっていた息子、西博顯氏に相談。自宅の台所でシルク化粧品の開発を始めました。家族で試行錯誤を重ね、30年以上にわたる研究・開発を通してたどり着いたのは、独自の製造方法。自社ラボで開発した原料と、天然成分の高配合を実現するシルクナノテクノロジーにより、「ほぼ美容成分でできている」スキンケアを開発。スキンケアの役割に応じた最適なシルク配合率を実現しました。
そして、「シルクの持つ力を、ADANの技術を、世界へ広めたい」と考える西里依氏は、SUQQU、THREEを立ち上げ、RMKの成長・拡大を担った業界のキーパーソン、石橋寧氏に相談。石橋氏をブランドプロデューサーに迎え、グローバル展開を目指すプロジェクトが始動しました。

STRATEGY

短期間で立ち上げてイベントへ

ターゲットは自分らしく美しく生きる30〜40代。本物の質感を愛し、選び、見極める人。サステナブルな価値観を大切にしながら、自分らしいライフスタイルを確立している人。そうした層に受け入れられ、またグローバルに展開するためには、洗練されたパッケージが必要だと石橋氏は考え、コスメ・スキンケアブランドのブランディングを数多く手がけるDynamite Brothers Syndicateにクリエイティブを依頼。
同時期に伊勢丹新宿店から石橋氏のもとへ、プレミアムスキンケアにフォーカスした新イベント「ISETAN BEAUTY WEEK 2025」出店のオファーが。今後、海外の代理店にアプローチする際にその出店が大きな強みになることから、約半年後、イベント開催直前の2025年3月ローンチを目指す計画をスタートしました。

CORE VALUE

シルク、テクノロジー、自然原料

高純度シルクと奄美に息づく生命を紡ぎ、素肌の可能性を問い直すプレステージブランド、ADAN SILK。パッケージをはじめロゴやブランドサイトなどのクリエイティブに向け、このブランドの核となる3つのファクターを洗い出しました。
まずは、桑畑作りから養蚕、収穫、化粧品の研究・開発まで自社で一貫していること。さらに、自社開発した原料とシルクナノテクノロジーにより、純度の高いシルクの高配合を実現。それも、スキンケアの役割に応じた最適なシルク配合率を実現していること。最後は、奄美大島産の自然原料にこだわり、天然成分が主成分のスキンケアを生み出したこと。これらを会長や社長からデザイナーまで、すべてのメンバーで共有・再確認しました。

DESIGN

現在地・目的地を踏まえたデザイン

デザインコンセプトを設定するうえで意識したのは、ADAN SILKの現在地と目的地。現在地とは、コモディティ化するスキンケア市場で、国内大手や外資系ブランドのような戦い方はADANには難しいという現実。目的地とは、グローバル展開にかける想い。それらを考慮し、店頭やSNSで目につくように、海外でメイドインジャパンとわかるように、奄美大島のシルクを使っているのが伝わるように、という基本方針を立てました。
デザインは、ブランドイメージの検証から着手。商品の価格帯やターゲット、特に伊勢丹新宿店の顧客層などを念頭に、さまざまな切り口でビジュアルを集めて意見交換。そうして鮮明になったイメージをもとに、ロゴをデザインし、ブランドカラーを定め、大島紬の模様を生かしたオリジナルパターンを開発。パッケージやブランドサイト、各種プロモーションツールのデザインも進め、計画通りイベント出店を果たし、メディアに取り上げられるなど話題を呼びました。今後も世界を目指し、ADAN SILKと私たちの挑戦は続きます。

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