Branding

あんぱんらしからぬ〝違和感〟を個性としたブランディング。

おしゃれな京土産として観光客やインバウンドに人気のあんぱん、「SIZUYAPAN」。京都のパン・洋菓子店「志津屋」による新ブランドのブランディングを私たちは手がけました。
素材ごと家紋を使い分けるデザインレギュレーション。欧文を多用することで海外需要に応え、現在進行形の日本らしさも表したアプローチ。人気の裏には、商品力はもちろん、圧倒的な個性を放つビジュアルアイデンティティがありました。

  • CLIENT:SIZUYA
  • Category:BRANDING/ART DIRECTION/LOGO/PACKAGE/GRAPHIC

BACKGROUND

姉妹ブランドでギフト需要に対応

1948年の創業以来、高品質で新鮮な素材の持ち味を生かしながら丁寧に商品を作り続けている「志津屋」。京都府内に20店舗以上を構え、地域の住民など1日約12,000人が利用する大衆的・庶民的な老舗から、ギフト需要も見据えた姉妹ブランドを作ること。それがプロジェクトの目的でした。

CONCEPT MAKING

「憧れを生むモダンで大人のパンや」

デザインコンセプトの立案に向けて、まずは志津屋の特徴を思い浮かべ、「大衆的」「丁寧な接客」「毎月新商品」などのイメージワードを抽出することから始めました。ブランドの核として「PHILOSOPHY(哲学)」「SERVICE(サービス)」「APPEARANCE(外見)」を設定し、それぞれにイメージワードを当てはめて集約。そこから「おいしさを大切にし京都から生まれた、万人に愛される身近な老舗パンや」という志津屋のコピーをひとまず考え、そのコピーを軸に新ブランドのコンセプトを立案しました。

志津屋だからできることは今後も大切にしたいというクライアントの思いから、「おいしさを大切にし京都から生まれた」というフレーズはそのまま採用することに。では「万人に愛される身近な老舗パンや」ではなく、新ブランドはどうあるべきか。その答えを出すため、志津屋と新ブランドの違いを明確化。「京都発」「差異化」「ギフト需要」というアプローチワードを挙げ、「差異化」と「ギフト需要」のアプローチワードに含まれる特徴をワード化し、共通項にフォーカス。それにより、「憧れを生むモダンで大人のパンや」というワンワードを導き出し、デザインコンセプトに設定しました。

STORY TELLING

バックストーリーでブランドに厚みを

ブランドに厚みと秩序を作るために考えたのが、「京都のとあるパンづくりの盛んな架空の村、志津村。そこにはおいしいとうわさのパン屋さんがいくつも軒を連ねる。そんな腕に覚えのあるお店がつくりあげた、京都を代表するブランド」という、ブランドにまつわる架空のバックストーリー。
餡の産地や製造所にも違いがある点を日本の家系にたとえ、餡の種類ごとに家紋を設定。志津村の地図も作成し、ビジュアルコミュニケーションのフックとしました。
できあがったバックストーリーをもとにデザインの骨格を制作。モダンな京都のイメージを探るため、写真やイラストなどの資料を収集。家紋や掛け軸など日本の伝統イメージを「造形(グラフィック)」「商品」「構造(造り)」「色彩」の4つに分けてデザインに落とし込みました。あんぱんらしからぬ「違和感」を付加し、認知されることで確立されるブランディングを目指しました。

LOGO DESIGN

家紋をモチーフに展開ルールを設定

造形の代表例は、志津村をイメージした架空の家紋を組み込んだSIZUYAPANのロゴマーク。サークル内の6つの丸は、デビュー時に発表した6つの商品の家紋を表しています。「酒粕生地なら円の周囲をドットにする」「抹茶生地なら円の周囲に葉っぱを付ける」「こしあんなら円の内部をスミベタにする」など、商品や家紋一つひとつに規則性を設けて世界観に統一性を持たせました。

PRODUCT & PACKAGE DESIGN

和の伝統と新ブランドの革新性を融合

商品開発にも「憧れを生むモダンで大人のパンや」というコンセンプトを生かし、パンのサイズを小さくして上品な印象を演出しました。

ラベルの構造は、掛け軸をイメージした縦長のボックスに欧文を多用したデザインでモダンなイメージに。色彩設計は、金閣寺や鳥居といった京都のイメージ。金と赤に基本の白と黒を加え、計4色でブランドを管理することに。
パッケージの素材には、クラフトに近い紙を採用。手に取った際の温かみを重視しました。また、パッケージに直接ラベルシールを貼ることで、ラインアップの追加にも低コストで対応できるよう配慮しています。さらにショップデザインやユニフォームなども含め、トータルでディレクションし、新ブランドの世界観を統一しました。

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