
雑誌「日経トレンディ」は毎年12月号で、その年のヒット商品をランキングし、翌年のヒット商品の予測も掲載しています。
では、その予測と結果を照らし合わせ、数年分のランキングも追っていけば、ヒットの傾向が浮かび上がるのでは? 今年のヒット商品もわかるのでは?
というわけで、まずは2021年のヒット商品の予測(2020年12月号)と、結果(2021年12月号)から見ていきましょう。




2021年:予測と結果が一致するものはありませんでした。
2022年:「ちいかわ」、「ぷにるんず」が一致。
2023年:「chocoZAP」、「北海道ボールパークFビレッジ」、「ハリー・ポッター再ブーム」、「Steam Deck」が一致。
2024年:「新NISA」、「Vポイント」、「リードルショットシリーズ」、「未来のレモンサワー」、「布製ランドセル」、「アライ」が一致。
2025年:「Nintendo Switch 2」、「THE ANSWER」、「Jiffcy(ジフシー)」、「ポケポケ」、「ジャングリア沖縄」が一致。
過去5年の予測と結果の一致から、当然のことながら、すでに話題になっているものがヒットすることがわかりました。
・ちいかわ(すでにSNS・グッズに浸透)
・ハリー・ポッター(映画は大ヒットシリーズ)
・Nintendo Switch 2(市場の既定路線)
・chocoZAP(RIZAP既存ブランド)
・北海道ボールパークFビレッジ(人気観光地・人気球団)
・Vポイント(Tポイント基盤を活用)
・新NISA(制度決定済み)
5年間のランキングから、ヒット商品には以下のような共通点があることがわかりました。
「巨大IP × 再点火」
「シン・エヴァンゲリオン」、「東京リベンジャーズ」、「ONE PIECE FILM RED」、「THE FIRST SLAM DUNK」、「推しの子」、「名探偵コナン」、「ハイキュー!!」、「ジブリパーク」など巨大IPが映画・アニメ・施設・再編集で再登場しています。
「体調 ×日常消費」
「Yakult1000」、「ナイトミン」、「コリコランワイド」、「タンサ脂肪酸」など、病気対策ではなく、〝なんとなく不調〟対策商品が売れています。
「専門化 × ワンテーマ」
「chocoZAP」、「ぼんご系おにぎり」、「鰻の成瀬」、「麻辣湯ブーム」など、一言で説明できる専門性を極めた業態が話題です。
「食×違和感」
「マリトッツォ」、「生ジョッキ缶」、「未来のレモンサワー」、「水グミ」、「もちっとおいしいスパゲッティ」など、一度は試したくなる違和感はヒットにつながります。
「社会イベント × 消費」
「WBC 2023」、「阪神タイガースのアレ」、「大谷翔平売れ」、「大阪・関西万博」などビッグイベントは、消費に大きく影響します。
予測した内容が1年遅れてヒットするケースもありました。
・ジブリパーク(2022年予測) >>> ジブリパーク(2023年結果)
・次世代EVラッシュ(2021年予測) >>> 国産サクラ/eKクロス EV(2022年結果)

日経トレンディ2025年12月号では2026年のヒット商品を上記のように予測していますが、私はここまでのヒットの法則をもとに以下のように予測しました。
1位 WBC 2026 (日経トレンディ予測 ランク外)
前回大会が開催された2023年は「WBC2023」が10位にランクインしました。今年の日経トレンディの予測にはありませんが、大谷翔平選手の出場も報じられ、「ヒットの法則1 巨大IP・巨大資本・制度が裏にあり、すでに兆しがあるものがヒット」、「ヒットの法則2 社会イベント×消費がヒット」にも該当することから、1位と予測しました。ちなみに、「憧れるのをやめましょう」は、WBC2023決勝前に大谷翔平選手が侍ジャパンの選手たちにかけた言葉。今年も何か流行語が生まれるかもしれません。
2位 多言語リアルタイム翻訳 (日経トレンディ予測 1位)
2026年は3連休以上の休みが計8回あり、ゴールデンウィーク、シルバーウィークを中心に海外旅行に行く人が増えるでしょう。WBC以外にも今年はミラノ・コルティナ冬季五輪、サッカーW杯などのスポーツイベントが多く、現地での観戦にも役立つはずです。テクノロジー系の商品・サービスは毎年必ず話題になりますが、今年はAIを活用した多言語リアルタイム翻訳と予想。アプリ「CoeFont通訳」を実際に使ってみましたが、話し相手に見えるように外国語が逆さまに表示されるのが便利だと感じました。
3位 Pokemon LEGENDS Z-A (日経トレンディ予測 10位)
ウマ娘(2021年2位)、桃鉄(2021年14位)、スプラトゥーン(2022年9位)、ゼルダ(2023年4位)、スイカゲーム(2024年7位)、Nintendo Switch 2(2025年3位)など、過去にゲーム関連商品は毎年ランクインしてきました。特にポケモンは、Pokemon Sleepが2023年16位に、ポケポケが2025年15位にランクインする、言わずと知れた超人気コンテンツ。「ヒットの法則2 巨大IP×再点火がヒット」の最有力候補といえるでしょう。
4位 映画「ルックバック」 (日経トレンディ予測 ランク外)
昨年の「国宝」大ヒットが記憶に新しいところですが、過去にはシン・エヴァンゲリオン(2021年3位)、トップガン(2022年4位)、SLAM DUNK(2023年3位)、名探偵コナン(2024年5位)と、話題作が上位にランクインしています。そこで、是枝裕和監督による実写映画化が報じられた「ルックバック」を選出。「このマンガがすごい!2022」オトコ編第1位を獲得し、2024年には劇場アニメ化され大ヒットしたことから、「ヒットの法則2 巨大IP×再点火がヒット」に当てはまるでしょう。「ゴジラ-0.0」も有力ですが、11月3日公開なので年末に間に合うかどうか、です。
5位 中古EV (日経トレンディ予測 2位)
国内で発生した中古EV台数は右肩上がり。政府は、中古EVの車載バッテリーの使用年数・充電回数のデータを共有・流通させる基盤づくりに動き出し、経済産業省はデータ流通に取り組む企業に補助金を出し、新規参入や事業拡張を後押ししているそうです。「ヒットの法則1 巨大IP・巨大資本・制度が裏にあり、すでに兆しがあるものがヒット」に該当します。
6位 ニンテンドーミュージアム (日経トレンディ予測 2025年の20位)
北海道ボールパークFビレッジ(2023年6位)、ジブリパーク(2023年20位)、ジャングリア沖縄(2025年29位)のようにニューオープンした施設はランクインする傾向にあります。そのため、「ヒットの法則3 前年の予測が遅れて1年遅れてヒット」に基づき、ニンテンドーミュージアムがここへきて再浮上すると予測。中国人観光客の減少や、昨年末の紅白歌合戦での星野源さんによるパフォーマンスの影響も考えられます。
7位 夜ヨーグルト (日経トレンディ予測 11位)
これはまさに「ヒットの法則2 体調 ×日常消費がヒット」です。Yakult1000、アリナミンナイトリカバー、ナイトミン 耳ほぐタイムのように、体調管理×時間帯訴求(特に夜)は習慣化しやすく、ヒットしやすいといえます。グリークヨーグルトや、韓国発の「ヨアボ (ヨーグルトアイスボウル)」や「ヨアジョン (ヨーグルト・アイス・ジェラート)」の流行によって話題化に拍車がかかるのではないでしょうか。
8位 推し化カラオケ(推しカラ) (日経トレンディ予測 19位)
推し活はすでに社会に定着しているため、「ヒットの法則1 すでに兆しがあるものがヒット」の可能性が考えられます。SNS拡散力が高い点もポイントです。なお、日経トレンディでは「推し活は次の段階へ。一般人でも、リアルかつ気軽に自己承認欲求を満たせる新カラオケのような〝推され活〟サービスも活況となりそうだ」と伝えています。
9位 「常温保存」生パスタ (日経トレンディ予測 6位)
「ヒットの法則2 食×違和感がヒット」のように、既存の食品が進化した商品はこれまで数多くヒットしています。タイパのニーズにも応える商品です。
10位 「セルフ式」コンビニラーメン (日経トレンディ予測 14位)
「ヒットの法則2 専門化×ワンテーマがヒット」の該当例。既存のコンビニ導線をそのまま活用できる点、写真・動画向きな点がヒットの要因に挙げられます。韓国ではコンビニでラーメンを調理するのが定着しているため、その影響で日本にも広がるかもしれません。
2026年ヒット予測TOP10
1位 WBC 2026
2位 多言語リアルタイム翻訳
3位 Pokemon LEGENDS Z-A
4位 映画「ルックバック」
5位 中古EV
6位 ニンテンドーミュージアム
7位 夜ヨーグルト
8位 推し化カラオケ(推しカラ)
9位 「常温保存」生パスタ
10位 「セルフ式」コンビニラーメン
と、勝手に予測しましたが、どんな結果が出るでしょうか。正解は1年後に。
言うまでもありませんが、トレンドを毎年キャッチし続けている「日経トレンディ」編集部に敬意を込めてーー。
石塚勢二
CREATIVE DIRECTOR / COPYWRITER
プロダクションにて企業の広告・プロモーションに携わった後、Dynamite Brothers Syndicateに参画。パーパス策定やコンセプト開発から、コミュニケーション戦略の立案、コンテンツの企画・制作まで行う。知性・感性が相手と共鳴する関係を重視。