Branding

すべては香りの余韻を届けるために。

コーヒーブランド

創業以来90年以上コーヒーに向き合い続けてきたUCCが、“究極のコーヒーの香り”を追求し、飲むコーヒーだけでなく、食べて香りを楽しむという新たな楽しみ方を確立。「より良い世界のために、コーヒーの力を解き放つ。」というパーパスを体現する商品が誕生しました。
商品開発からデザイン、プロモーションまで、私たちがどのように新ブランドと関わり、香りの余韻に浸るという価値を伝えたのか。その全貌を明かします。

  • CLIENT:UCC上島珈琲
  • Category:BRANDING/ART DIRECTION/GRAPHIC/LOGO/PACKAGE/WEB

PRODUCT DEVELOPMENT

香りを閉じ込めた新しいコーヒー

「飲むコーヒーでは抽出・保存過程で失われてしまう香りを、どのように長く、深く感じていただけるだろうか」。コーヒーのあらゆる価値を探求してきたUCCの研究者は20年以上そう考え続け、「豆本来の香りを1つの食品に閉じ込めて、まったく新しいコーヒーを作る」という前代未聞のプロジェクトに挑戦しました。開発に挑んだのは、最新のテクノロジーと設備のもと味覚分析・評価や研究開発を行う、UCCイノベーションセンター。試作と改良を重ね、日本初の製法によってフレッシュな香りを保持することに成功。口にした瞬間に広がるコーヒーの鮮烈な香りと、喉から鼻に抜けていく香りにより、口から溶けてなくなった後も香りの余韻が続く商品が誕生しました。

CORE VALUE

唯一無二の提供価値は余韻の体験

その新しいコーヒーは、誰にどんな価値を提供するのか。ブランド像をプロジェクトメンバー間で正確に把握・共有するため、開発担当者、マーケティング担当者、店舗運営担当者などで構成されるチームとディスカッション。また、一歩先でなく「半歩先」の共感を得るため、身近なエピソードからインサイトを探るワークショップも開催しました。そうして、食にこだわり、自分軸を持つ層をターゲットに設定。食やスイーツを通じて新しい体験をしたいインサイトに対してこのブランドが提供する価値は、嗅覚で感じる香りではなく、味わった後の「余韻」、飲むときには感じられない体験と定義。以降のクリエイティブ開発につながるブランドパーソナリティの設定やキーワードの抽出も、ミーティングを通じて行いました。

NAMING & LOGO DESIGN

余韻を想起させる第一印象に

ネーミングは、余韻に包まれるという体験価値が直感的に伝わる「YOINED(ヨインド)」に。「余韻のまどろみと、濃く深い味わい」をすべてのビジュアルのコンセプトに据え、ロゴは、濃く深い味わいを表す太いセリフ体、高級感を表すサンセリフ体、長く続く余韻やシズルを表す有機的なフォルムを一体化。ドリンクでは味わえない濃さと深さをストレートに表現することで、商品の個性をそのままロゴの個性に置き換えました。さらにタグラインとステートメントを明文化、2種類の風味も名称化し、ブランドの骨格を固めました。

KEY VISUAL

深い余韻を感じさせる写真表現

ブランドサイトやリーフレット、ショップツールなどに展開するキービジュアルは、コーヒーでありながら食品であるという特異性や存在感を、コピーとビジュアルの両面で伝えて興味を喚起。画期的な商品を中心に捉えながらもそのままストレートには見せず、「ピントの浅い写真」を使うことで深い余韻のニュアンスを感じさせています。この表現は、キービジュアルだけでなくすべての写真で統一し、YOINEDらしい世界観を構築しています。

PACKAGE DESIGN

出会った後の体験までデザイン

商品一枚一枚は、ゆっくりと味わい余韻に浸れるサイズ。口溶けが良くすぐに鮮烈な香りを感じられる薄い板状。個包装には、UCCの品質保証のスペシャリストの知見を集めて採用しています。そうした余韻へのこだわりを、私たちはパッケージデザインにも反映しました。余韻は「続く」ものというイメージから、外箱は6枚の個包装が一列に並ぶ横長の形状に。色は、まったく新しいコーヒーであること、チョコレートと誤認されるのを防ぐ必要があることから、茶色系で風味の濃さを想起させる王道の方向性は除外。それとは反対に外箱を白く、内側を熟したコーヒー豆のような赤茶色に。余韻とは、ある出来事での驚きや感動の「後」に感じるため、箱を開いた後にも、色のコントラストで風味の濃さを感じられるよう設計しました。

DIGITAL COMMUNICATION & PR

世界観づくりと購入への導線づくり

ブランドサイトは、キービジュアルはもちろん、コーヒー豆や開発現場のイメージカットまで全体を通して写真を大きくレイアウト。興味をもって訪れた人をYOINEDの世界観にいっそう引き込んだうえで、商品開発に至った背景や製造の経緯などブランドストーリーも丁寧に紹介して、購入を後押ししています。加えて、試食体験会に参加するインフルエンサーのアサインもPR会社と密に連携して実施。情報番組やWebニュースをはじめ200を超えるメディアに取り上げられました。商品開発のフェーズから、デザイン、発売・拡散の支援まで、ブランドの構築と展開に全面的に携わりました。

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