Story

UCC上島珈琲 「YOINED」

プロセスの共有で高まる開発力と表現力。

創業以来90年以上コーヒーに向き合い続けてきたUCCが、究極のコーヒーの香りを追求し、構想20年の末、食べて香りを楽しむコーヒー「YOINED(ヨインド)」を数量限定発売。

発売から2週間が経過した202311月中旬、これまでを振り返るとともに、これからの課題について話し合いました。

Project Info.
  • CLIENT: UCC上島珈琲 「YOINED」
  • CATEGORY: ART DIRECTION EDITORIAL
  • YEAR: 2023
SPEAKER
  • 里見 陵UCC上島珈琲株式会社 取締役副社長
  • 染谷 清史UCC上島珈琲株式会社 マーケティング本部 ブランドマネジメント部 部長
  • 小坂 朋代UCC上島珈琲株式会社 マーケティング本部 ブランドマネジメント部
  • ※肩書きは2023年11月当時
  • 植村 徹Dynamite Brothers Syndicate PRODUCER / PLANNER
  • 高木 裕次Dynamite Brothers Syndicate CREATIVE DIRECTOR / ART DIRECTOR
  • 石塚 勢二Dynamite Brothers Syndicate COPYWRITER

Q. 発売後の反響はどうですか?

里見:世の中から大きく注目いただいているのが伝わってきますね。テレビや新聞やネットをご覧になった取引先からも「食べてみたい」っておっしゃっていただいて。

植村:我々もいろんな番組で観ました。200以上のメディアに取り上げられたそうですね。

小坂:はい。とにかくすごい反響で、社員からも「テレビ観ましたよ」とか「売れてるらしいじゃないですか」とか声をかけられましたよ。

里見:社内掲示板でコメントがたくさんついてます。

小坂:社内報担当者からも「私が今まで担当した中で一番反響がありました」って言われました。

石塚:そういう反応はやっぱりうれしいですよね。

里見:いろんな声を見たり聞いたりしてると、やっぱりホームページが見られてますね。そこに載っている言葉一つひとつに反応していただいています。

Q. 商品についてどのような可能性を感じていましたか?

小坂:まだ世の中にない商品だからどうなるかわからなかったですけど、最初に食べたときには単純に「おいしい」って感じましたね。

染谷:目的設計をどっちにするかは悩ましいと思いましたね。UCCがコーヒーにこだわった新商品ということで話題作りするのか、それとも、とにかく数を売るのか。

里見:私はUCCグループのパーパス(※ より良い世界のために、コーヒーの力を解き放つ。)の策定に関わっていたのですが、この商品アイデアがそれをすごく体現してるなと思いました。イノベーティブだし、コーヒーの力を解き放ってる。だから、世に出したいっていうのが最初の感覚でした。
さっきの話でいうと、直販のみ・小ロット製造・プレミアム価格・PRで話題を呼ぶ道と、特許があるので他社に持ち込んで大きなビジネスに仕立ててマス商流に乗る道、2方向の選択肢を設定しました。社内では「PRと、その次のステップを見定めるのがいい」と前者を選びました。

高木:両方あるなとは僕も思っていました。YOINEDが元々目指した世界観をしっかり確立したら、もうひとつの道もあっていいし、「食べるコーヒー」というもの自体が世の中にないから、新ジャンルだったりカルチャーだったり、そういう存在になれるんじゃないかと思ってます。

里見:そうですね。多くの方に届けるのも大事なお話なので、学びを経てプランニングできると思います。

Q. Dynamite Brothers Syndicateをパートナーとして選ばれた理由を教えてください。

小坂:「答えは社内にある」っていう指摘は大きかったですね。UCCのパーパスを体現した商品だから、研究者や社内の人の発言にこの商品の答えがすべてあると。まずそこからキーワードを見つける必要があるって言われたんですよね。あとは、ブランドを育てていく観点が強い会社だなとも思いました。

里見:コンセプトやデザインはもちろんですけど、私たちに対する理解が深くて、ブランド作りを一緒にできそうという点で期待が持てました。

小坂:そうですね。寄り添ってくれそうな印象は最初からありました。

植村:ありがとうございます!そこは我々の持ち味の一つでもあります(笑)。

Q. 定期的にミーティングやワークショップを行いましたが、進め方についてどう感じていましたか?

小坂:このプロジェクトはイノベーションセンターの開発者から店舗担当者まで、いろんな部署の人が集まっていますが、植村さんのファシリテーションで、フラットに意見を吸い上げてくれたり、丁寧に深掘ってくれたりしたのが良かったです。普通なら、最初に発言した人に引っ張られたりすることが多いですが、そういう雰囲気がなく、役職など関係なく、みんな自分の意見を自由に発言できる空間がありましたね。

植村:皆さんのキャラクターも良かったですよね。特にバランスが。

里見:自分の意見の主体性と、ほかの人の意見をオーソライズする意識のバランスがとれたチームだと思います。

高木:あと、皆さんコーヒーが好き。

里見:もちろん、それは圧倒的にそうだと思います。

植村:だから語れるんですよね。

小坂:みんなエピソード持ってますよね(笑)。

植村:今回、里見さんは常にミーティングに参加されてるわけじゃなくて、要所でご確認いただく進め方でしたけど、そのときの「みんなでもうプレゼンしに行こう!」っていう空気感も良かったなと思います。上長の確認をとることに嫌な感じがなくてポジティブでしたよね。

小坂:全員の意思がちゃんと統一された状態で持っていって、その自信作に対してフィードバックされるのが良かったんだと思います。みんな楽しみにしてましたからね。「なんて言われるんだろう?」、「どんな反応が返ってくるんだろう?」という感じで。ワークショップも含め、今回のように製品を作っていく経験がみんな初めてで、すごく楽しいって言ってくれました。

石塚:「気さくなプロフェッショナル」っていうブランドパーソナリティも、そのミーティングから決まりましたね。

小坂:決まった後は「これが気さくなプロフェッショナルなのか」という議論に進めたのでやりやすかったです。

植村:ブランドパーソナリティは決まったけど、そこからデザインを形にしていくのは大変じゃなかった?

高木:皆さんから出たいろんなキーワードをもとに「気さくなプロフェッショナル」に決まったから、デザインに落とし込むときは、それを因数分解して、元々はこの言葉とこの言葉があったなって再確認して作りました。

小坂:「こうなりたくない」というキーワードは結構ありましたよね。気さくだけど手軽は違うとか、チョコレートと認識されたくないとか。

高木:「こうなりたくない」っていう言葉とは別に、「こうなりたい」っていうワードも一緒に打ち合わせしていると出てきたんですよ。そういう資料にない言葉もあると判断基準になるから、デザインしやすくなります。

植村:プロセスを一緒に共有できていたからピックアップできたんだね。

Q. クリエイティブについてはどんな印象を抱きましたか?

里見:私たちだけでは、ストーリーの作り方はもっとプロダクトアウトっぽくなっていたと思うので、ユーザーの共感を得る「半歩先」ってずっとおっしゃっていただいたのが良かったと思います。

高木:一歩先じゃなくて、二、三歩先でもなくて、半歩先っていうのは早い段階から話してましたね。

染谷:クラフト感のさじ加減というかトーンというか、ここまで入り込んだデザインはなかなか出せないですよね。

高木:それも、最初からお話を直接聞いてるから、微妙なニュアンスとか間みたいなこともストレートに聞けたんだと思います。

里見:一貫性も良かったと思います。メディアの方に話す熱量とか、Webから感じる熱量とか、パッケージのトンマナとか。世の中には全体の一貫性がないブランドもたまにありますけど、YOINEDはそれがないですよね。

小坂:早い段階でブランドステートメントを作ったから、そうなれたのかもしれませんね。あれで、社員が共通認識を持てたんじゃないでしょうか。

石塚:ステートメントでは、「新しい楽しみ方」とか「今までにないスタイル」っていう言葉を意識的に使いました。それほどの価値を提供する商品だと感じたからです。あとは、技術の結晶だと伝わるように、「コーヒーと90年以上向き合ってきた」っていう言葉も提案しましたね。UCCにとってどういう位置づけの商品か共有できましたし、その後のクリエイティブにも影響したんじゃないかと思ってます。

植村:デザインについては、UCCのロゴの扱い方は議論しましたよね。

小坂:最初は控えめに載せるくらいかなと思ってましたけど、開発のストーリーを聞いてるうちに、やっぱり「これぞUCCだ」って堂々と出したほうがきっとかっこいいと思いましたね。

里見:特にこういうパーパスを体現する場合は出すべきですし、出さないと意味ないと思ってます。

高木:商品特性的にもそうでしたよね。じゃないと、構想20年ってPRしても説得力出ないですからね。

里見:そう思います。パーパスとか思いとか、そういうのを形にするときにロゴは大事です。

植村:じつは当初提案したパッケージは、今の形とは違うんですよね。

高木:最初は、6枚を1枚ずつ平置きにしたデザインでした。食べて1枚ずつ減っていくことでも余韻を表現できるっていう狙いでした。iPhoneのケースのようなイメージで、プロトタイプも作ったんですけど。

植村:でも長すぎたよね。サイズが(笑)。

高木:そうなんです。単純にデザイン性ということで言えば、実現したい気持ちはありましたけど、予算の関係とか店舗でのオペレーションとか、いろんな条件をクリアできなくて今の形になりました。この先、たとえば期間限定で高価格商品を出したり、もっとストーリーのある特別な商品を出すような場合は、元々の構想もアリかもとは思います。

Q. 今後の課題を教えてください。

小坂:伝え方ですかね。「コーヒー豆まるごと」とだけ言われてもやっぱりわからないんじゃないか?とか、さんざん検討しましたけど、それでも抽出後のコーヒーの粉を使ってると勘違いされる方もいらっしゃるので、伝え方には注意していきたいと思います。

植村:伝え方、伝わり方といえば、情報番組をはじめマスコミに取り上げられたので、「気さくなプロフェッショナル」っていうブランドパーソナリティが、いい意味で少しマス化したかもしれませんね。

里見:そうですね。確かにブランドのキャラクターを研ぎ澄ますのもすごく大事だと思います。

染谷:あとは、お客様がちゃんと味わって、それが購買につながるという導線はもっと検証が必要ですよね。

里見:定量的な把握やアンケートの分析は課題です。今は11店舗で売ってますが、お客様がどんな思いを持って買われてるかとか、声を整理していく必要はあります。それをもとに次のプランニングもしていくので、そのときもぜひディスカッションさせていただきたいです。

SPEAKER

里見 陵

UCC上島珈琲株式会社 取締役副社長

染谷 清史

UCC上島珈琲株式会社 マーケティング本部 ブランドマネジメント部 部長

小坂 朋代

UCC上島珈琲株式会社 マーケティング本部 ブランドマネジメント部

※肩書きは2023年11月当時

植村 徹

Dynamite Brothers Syndicate PRODUCER / PLANNER

高木 裕次

Dynamite Brothers Syndicate CREATIVE DIRECTOR / ART DIRECTOR

石塚 勢二

Dynamite Brothers Syndicate COPYWRITER

HPに掲載していない作品事例はこちら

Design Case Study 2023

Download