Story

日本製紙クレシア / 講談社

大切な気づきを届けるscottie×FRaUコラボ。

2018年以来、27冊にわたって1冊まるごとSDGs特集を発行し、読者とともにサステナブルな未来を考えてきた雑誌「FRaU」。最新号「木と森がつくる、未来。」の刊行に合わせて、今年日本発売60周年を迎える日本製紙クレシアの「scottie(スコッティ)」とのコラボ商品を数量限定で発売することになりました。メッセージ性のある商品を、どのように暮らしの中へ届けたのか。パッケージと特設サイトを制作したアートディレクター・村松哉と、デザイナー・山越今日子に、工夫や視点について聞きました。

Project Info.
  • CLIENT: 日本製紙クレシア / 講談社
  • CATEGORY: ART DIRECTION, DESIGN
  • YEAR: 2024
SPEAKER
  • 村松 哉ART DIRECTOR
  • 山越 今日子DESIGNER

長年愛されるシリーズ。 “想い”をどう伝えるか?

Q. 今回の「scottie」×「FRaU」コラボレーションでは、ティシューボックスの限定パッケージと特設サイトのデザインを手がけました。その背景について教えてください。

山越:今回のコラボは、環境リテラシーの高い「FRaU」読者とのコミュニケーションを狙ったものですが、なぜ「scottie」となのか、というと、ティシューは毎日使う、生活に欠かせないもの。SDGsについて身近に考えるきっかけを届けるには、ぴったりだということがありました。

村松:「scottie」は、すごく歴史が長いブランドで、今年、日本販売から60周年を迎えるということもきっかけとしてありました。コラボの対象になった「ティシュー フラワーボックス」は、環境配慮にこだわっている点も特徴です。

Q. 2023年のリニューアルでは、1箱あたりの組数を160組から250組に増量し、交換回数を減らすことで、資材の使用量を削減。箱のサイズをコンパクト化し、物流の効率化を実現していますね。

村松:そうなんです。物配送の効率が良くなると、温暖化の原因といわれる二酸化炭素(CO2)排出量を削減できます。生活に身近なものが、環境配慮につながっているんだと知って驚きました。

山越:そんなふうに“サステナブルな暮らし”を考え続けてきた「scottie」と「FRaU」の共通の想い「日々の小さなことから、持続可能な未来のためにできることがある」ということを、デザインを通じて届けるのが、私たちの役目でした。

Q. 具体的にはどういった点が、デザインのポイントになったのでしょうか?

山越:「scottie」の「ティシュー フラワーボックス」は、長年愛されてきたシリーズで、リアルな花柄が特徴です。可愛らしい雰囲気で、デザインで選ぶ人も多いのではないかなと思います。そんな商品の元からの良さを活かしつつ、環境配慮のメッセージをしっかりと伝える、コラボレーションの意図を知ってもらうということを念頭に置きました。

実際、ティシューって使い方や消費量がそれぞれ違うから、これがエコだとかサステナブルだとか実感するのはなかなか難しいと思うんです。それをビジュアルによってわかりやすくできたらいいなと思いました。

雑誌と同じイラストで、コラボ感をわかりやすく表現

Q. 「海」と「森」2種類のパッケージがあるのですね。

村松:今回、僕らがデザインしたのは、「ティシュー フラワーボックス」の3箱パックと5箱パック、それぞれのトップボックスです。流通の関係で、3箱と5箱でデザインを分ける必要があり、「FRaU」の意向から、SDGsを考える上でわかりやすく身近な海洋環境保全と森林資源保全をテーマにすることにしました。

Q. どんなアイデアを提案したのでしょうか?

村松:最初に考えたのは、コラボ感をどう出すか、ということ。これまでの「FRaU」SDGs号を読みながら、表紙や扉絵にたびたび使われていた山口洋佑さんの伸びやかなイラストに目が留まりました。この世界観がボックスティシューになったら雑誌とのつながりがわかりやすく表現できそうだと思ったんです。実際、「FRaU」担当者も同じことを思っていたようで、それを1つアイデアに入れつつ、他の可能性も探っていきました。

山越:たとえば海と森のイメージを写真で見せたり、グラフィックで見せたり、「FRaU」SDGs号の中でも好評だった「今日からできる100のこと」の中の言葉を、白地にずらっと並べてデザインした案も出しました。その中の1つが、天面に、実際の雑誌の表紙と同じようにタイトルやSDGsのアイコンを配置し、表紙のように見立てたアイデアです。

村松:「scottie」も「FRaU」も、単純に素敵なイラストを使って、きれいなイメージに仕上げるということよりも「コラボならでは」というところを大切にしたかったようです。

目を引く面白さも意識した、雑誌を積み重ねたデザイン

Q. 側面の雑誌を積み重ねたデザインも印象的です。

山越:ドラッグストアなどでは、さまざまなボックスティシューが店頭に並んでいますが、消費者は3秒で何を買うか決めているといわれています。そこで、手に取るきっかけや、目を引く面白さが必要だと感じました。例えば、使用後のボックスを花瓶として使えたり、アートとして楽しめたりといった、ボックスにプラスαの価値を見出すアイデアも提案しました。

Q. イラストではなく写真を使用して、よりリアルさを出したのには何か理由があるのでしょうか?

山越:目に留まるインパクトがありつつも、ボックスティシューの使い道を考えたときに、“日常になじむ”ということも、重要なポイントだと思ったんです。そこで部屋の中にあっても違和感なく見えるよう、写真を使ってリアルに仕上げたかった。ちなみに、この雑誌の積み重ね具合は結構こだわった部分でもあって、スマホで撮影しては「こんな感じにできないかな」と何度も検証もしました。

村松:個人的には雑誌を積み重ねるとなったら、ピシッときれいに積みたくなるんですが、山越さんはあえて乱雑に積んだのが面白いなと思いました。

山越:整いすぎてない方が、より生活感を感じるし、日常の風景になじみやすいような気がしたんです。

村松:今回僕らがデザインしたのはトップボックスだけですが、1つのパッケージ商品としての統一感も意識しましたよね。

山越:そうですね。それでいうと、積み重ねた雑誌の間に、花の形の栞を挟んでいるのですが、これは「フラワーボックス シリーズ」で使われている花を切り抜いたもの。このアクセントがあることで、下に積み上がる花柄の箱とのつながりが生まれて、コラボボックスだけが主張しすぎず、全体がまとまります。

意識したのは、「私」の毎日とSDGsをつなぐこと

Q. 身近なボックスティシューという商品だからこそ、“日常になじむデザイン”というのは大切なポイントかもしれませんね。

山越:そうはいっても、日常に意識を向けすぎてしまうと、真っ白な箱の方がよっぽど空間になじみやすいだろうと思うんです。でも今回の場合は、この商品に伝えたいテーマがある。その上で日常の中にあるものの一つとしても好感を持ってもらえる、かわいさやおしゃれさ、それこそ「FRaU」読者の心をくすぐるようなデザインということを大切に考えました。

Q. 特設サイトでは、ボックスティシューのある日常の1コマを写真で掲載していますね。サイトについてもこだわった点があれば教えてください。

山越:「わたしの毎日が、森をまもる、としたら」「わたしの毎日が、海をまもる、としたら」という商品のコピーに合わせて、サイトも「私」を軸にした世界観でまとめたいと考えました。そこで、日常風景の中に商品を置いたイメージを掲載することで、「私」の生活とSDGsの結びつきが連想しやすくなるのではないかと思ったんです。

ただ、「scottie」の環境配慮の仕組みや「FRaU」SDGs号の紹介といった情報部分と「私」の生活をどうつなげるか、悩みました。唐突に情報だけがあると、「この情報がどう私の生活に関係しているのだろう?」となってしまう。そこで、商品も情報も、消費者が自分ごととして受け取ってもらえるようなコピーを追加し、押しつけ感なく、楽しんでもらえるような雰囲気に仕上げています。

Q. 今回のようなメッセージ性のある商品のデザインに携わって、何か意識が変化した部分はありますか?

村松:実は、このコラボ企画に携わる中で、日本製紙クレシアが「FRaU」のために開催した「森の勉強会」に参加させてもらったんです。日本国内の森林の状況や種類、利用のされ方などを学びながら、ティシューをはじめ、日常の中に森や木から生まれたものが、たくさんあることに改めて気づかされました。デザインに直接的には関係していなくとも、環境保全や自然について理解が深まることで、今回のコラボレーションの意味がよりクリアに感じられました。

山越:環境問題やSDGsのような題材に興味や関心を持ってもらうためには、1デザイナーとしても、誠実さのようなものが必要な気がしました。
毎日使うものの選び方や使い方をちょっと変えるだけでもいい、「私」にもできることはある。そうした大切な気づきを届ける今回のコラボ企画に、デザインを通して参加できたことはとても嬉しかったです。

特設サイトはこちら
https://scottie.crecia.jp/cp/frau/

SPEAKER

村松 哉

ART DIRECTOR

山越 今日子

DESIGNER

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