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政治も料理も勉強も、時代は「エンタメ化」を求めている

COLUMN

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2024.7.12

都知事選で台風の目となった前安芸高田市長石丸伸二氏は、政治の「エンタメ化」を公言し、選挙に臨みました。
YouTubeなどのSNSを活用し、政治に対して無関心だった層の政治に対する興味関心を高める手法で、
成果を出しました。今回はそんな「エンタメ化」について考察します。

「エンタメ化」とは?

「エンタメ化」とは情報やコンテンツに娯楽性の高い要素を加えて提供することで、
観客や消費者の興味を惹きつけ、楽しませる手法や現象のことを指します。

様々なコンテンツやサービスは「エンタメ化」されることで、私たちの日常に様々な新しい価値を提供してくれます。
多くの人の日常は繰り返しです。そんな日常生活のリズムに変化を与え、
新しい視点をもたらしてくれるのが「エンタメ化」だと筆者は考えていいます。

では、どうすれば日常生活のリズに変化をもたらす「エンタメ化」が実現できるのか。
いくつかの事例を通して考察していきます。

「エンタメ化」で新しい価値をつくる

過去に例のない新しい価値をつくるのは一見難しく思えますが、視点や視野、そして表現を少し変えるだけで
新しい価値は生まれます。既に多くのモノやサービスがあふれる現代だからこそ、創造的なアプローチが重要です。
その手法の一つが「エンタメ化」です。

B&B書店は、毎日のイベントとビールで街の本屋を「エンタメ化」

下北沢にあるB&B書店は、ほぼ毎日のように開催するイベントとビールを通じて、本屋を単なる本を買う場所から
文化的な交流の場へと「エンタメ化」したと言えます。
作家との対談やワークショップを開催し、訪れる人々に新しい体験を提供しています。
これにより、街の本屋の新しい価値が創造されました。特筆するべきは毎日のようにイベントが行われていること。
そこに行けば新しい発見があるという楽しみを私たちに提供してくれます。
筆者ももちろん訪れたことがありますが、本屋さん以上の充実感が得られ、とても良い気分になれます。

画像は公式HPより引用

 

Sioの鳥羽シェフは、美味しいを超えた感動体験で食を「エンタメ化」

Sioの鳥羽周作シェフは、料理に対する自身の想いをストーリーやコンセプトに取り入れ、
食事を感動体験へと昇華させました。これにより、食の楽しみ方がより深くなり、「食べる」という行為自体が
特別な体験として「エンタメ化」されました。わかりやすかったのは、レストランが本気でつくる日本一の鮭定食。
お値段3000円程度。パリパリの皮に、肉厚でジューシーな身、土鍋で炊いたこだわりの白米に、豚汁、シラスの小鉢。
無条件で食べたくなるエンタメ化に成功しています。
日本人であれば朝食として馴染み深い鮭定食だからこそ可能にしたエンタメ化だと思います。

画像

画像は公式Xより引用

うんこドリルは、うんこを使って勉強を「エンタメ化」

「うんこドリル」はユーモアを取り入れた教材で、子供たちの興味を引きつけ、
学習へのハードルを下げることに成功しました。
これにより、勉強が楽しいものになり、学習意欲の向上につながる「エンタメ化」に成功しました。
「エンタメ化」の中でも昨今注目されるのが、教育とエンターテイメントを融合させたエデュテイメントです。
ゲーム感覚で学べる教材やアニメーションを使った授業など、
子供たちが楽しく学べる環境づくりに注目が集まっています。

画像は公式HPより引用

新庄剛志はファッションと言動で新庄剛志を「エンタメ化」

日本ハムファイターズの監督新庄剛志は独自のファッションと言動で自身を「エンタメ化」し、
野球ファン以外の注目も集めました。
これにより、新たな観客層をスタジアムに呼び込み、プロ野球の魅力を広げることに成功しました。
プロ野球、メジャーでの実績を残した新庄のファッションや言動は、従来の常識に囚われていません。
やりすぎでは。。。と、思う側面もありますが、嫌悪感が生まれないのが不思議です。
まさにエンターテイナーです。

事例から考察する「エンタメ化」に必要なこと

これらの事例に共通して言えるのは、既成概念に捉われていないことです。
・街の本屋が毎日イベント
・3,000円の鮭定食
・うんこで勉強
・新庄剛のユニフォームの着こなし

どれも従来の常識を逸脱していますが、極めてシンプルでわかりやすく楽しめます。

新しい価値を生む「エンタメ化」に必要な3つの要素

・既成概念に囚われないこと
・シンプルであること
・サービス精神

「エンタメ化」の可能性

「エンタメ化」は、さまざまな分野で新しい価値を創造し、消費者の興味関心を引きつける有効な手法です。
例えば図書館、コンビニ、百貨店、病院だって「エンタメ化」で新しい価値をつくることが可能です。
大事なことは既成概念にとらわれず消費者を楽しませる姿勢を持つことではないでしょうか。
前安芸高田市長石丸伸二氏はSNSの活用に注目が集まりますが、大事なことはコンテンツです。
「エンタメ化」されたコンテンツやサービスが増えれば、私たちの日常自体が「エンタメ化」されるかもしれません。

植村 徹

PRODUCER / PLANNER

クリエイティブエージェンシーでCI/VI、ブランディング、TVCM、Web施策などを経験。デザインシンキングや編集思考を用いたワークショップやファシリテーションを得意とし、百貨店の売り場開発、ライフスタイル商材のブランドコンセプト開発などを行っている。

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