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発想を広げるならペルソナより「ペルソーダナ」

20View
2026.5.29

ペルソーダナとは?

一言で表すなら、発想を広げるために情報を絞り込む、という方法です。

従来のペルソナよりもあえて抽象的に人物像を捉え、「この人、○○って思ってそーだな」「たぶん○○してそーだな」と想像します。
世の中に同様の思考法はあるかもしれませんが、私はペルソーダナと呼んでいます。

ペルソナではなく、ペルソーダナ。バカみたいな名前ですよね。でも、そもそもペルソナという名前のほうがカッコ良すぎませんか? そのカッコ良さから、内容や考察が薄くても「やった感」が生まれてしまいがちです。
それを防ぎ、常に「○○してそーだな」という考え方を意識できるようにペルソーダナと名付けました。

ターゲットやペルソナとの違いは?

ターゲットとペルソナの中間的な存在。それがペルソーダナです。同じ人物でも以下のように情報量が異なります。

【ターゲット】 ざっくり端的に
20〜30代女性

【ペルソナ】 ぎっしり緻密に
●氏名:佐藤 美咲
●年齢:29歳
●性別:女性
●居住地:東京都杉並区在住・1DK賃貸
●職業:IT会社勤務・Webサービスのマーケティング職
●勤務地:渋谷
●年収:600万円
●出身地:福岡県
●最終学歴:都内私立大学卒
●家族構成:独身・一人暮らし・恋人はいるが結婚は未定
●趣味:カフェ巡り・香水収集・オンラインゲーム
●休日の過ごし方:買い物・友人と食事・作り置き
●よく行く場所:吉祥寺・表参道・中目黒
●よく使うSNS:Instagram・TikTok・YouTube
●情報収集方法:Instagramリール・YouTube Vlog
●性格:穏やか・感受性が高い・雑なものが苦手
●価値観:「安い」より「ちゃんとしてる」
●悩み:将来のキャリア不安・睡眠の質・ちゃんとしなきゃ疲れ
●消費傾向:パッケージ重視・レビュー熟読・接客圧が苦手・安物を大量購入せず長く使えるものを選択
etc.

【ペルソーダナ】 ぼんやりラフに
佐藤 美咲 29歳 女性
都内IT会社勤務

このように、ターゲットより細かく、ペルソナより粗く設定します。この粗さ、ラフさが後で効いてきます。

ペルソナのリアリティは万能か?

ペルソナは、購買データ、顧客インタビュー、SNS分析、検索キーワード、アンケートなどをもとに作ります。

データとは調査結果。その結果から現在を知ることができますが、ペルソナを作ろうとしている時点でその現在はすでに過去なのです。
今は、社会の価値観が刻一刻と変化する時代。未来の施策、たとえば新規性の高い施策を考える際、過去の情報は本当に頼りになるでしょうか。

また、ペルソナは特定の人物の情報を、実在しそうと思えるほど具体的に設定します。それによって人物像にリアリティが生まれます。
しかし、具体的なぶん、発案するための手がかりはその情報の周辺に限定されます。想像を膨らます余地は少ないのです。

ペルソナを否定するつもりは一切ありません。しかし、予定調和の企画や、既視感のあるアイデア、正しいけれど、ただ正しいだけでつまらなく、肝心の成果も上げない施策が存在するのは事実。
それらの背景には、目的を問わず、「とりあえずペルソナに沿っていれば間違いない」という過度なペルソナ至上主義があるのかもしれません。

ペルソナは、「誰に向けて」をプロジェクトメンバー間で共有する場合に効果的ですが、既定路線から外れた画期的なアイデアを生み出す場合には必ずしも最適ではないといえます。

ペルソーダナにはオリジナリティーがある

一方ペルソーダナは、データに基づいているのではなく、個人の想像力次第。だから当然バラつきがあります。想像にとどまらず、なかには妄想、偏見も含まれるでしょう。
そこがむしろいいのです。自分勝手な想像の中には、データをもとにしたマーケティングでは決して導き出せないアイデアや、AI にはない視点があるはず。ときには正解だけが正解じゃない(←これ重要!)ということです。

とはいえ、ペルソーダナは、エビデンスがなく推測の域を出ません。課題解決の精度は低いため、確実に成果を上げなければいけない場合にはおすすめできません。

たとえるなら、ペルソナは、明確な自覚症状に対する栄養ドリンク的な「即効性のある課題解決」。ペルソーダナは、栄養ドリンクに加え、体質改善、運動習慣、働き方改革なども含む「新たな解決策の模索」と分類できます。

あるケースでペルソーダナを試してみた

仮に、ある清涼飲料水の商品企画というシーンにペルソーダナを用いてみました。

「なんか疲れてそーだな。いい枕を探してそーだな」
→疲れたアラサーのための睡眠サポート飲料を作れないか?

「ネコ飼ってそーだな。ペットにはお金を惜しみなく使いそーだな」
→ペットの水分補給専用ドリンクを作れないか?

「お酒強そーだな。行きつけのワインバーありそーだな」
→人気の白ワインをもとにノンアルワインを作れないか?

「男兄弟がいそーだな。じつは格闘技好きそーだな」
→女性の健康に作用するプロテイン飲料を作れないか?

「せっかちそーだな。そのぶんよく忘れ物をしてそーだな」
→記憶対策サプリのような機能性飲料を作れないか?

すべては憶測です。疲れていたり、ネコを飼っていたり、お酒に強かったり、男兄弟がいたり、せっかちだったり、そんな事実は何ひとつありません。
ないけれど、限られた情報の範囲で好き勝手に想像します。そうすることでペルソナからは導き出せなかった、睡眠サポート、ペット用、ノンアルワイン、プロテイン、記憶対策といったキーワードが出現し、思わぬ方向へと企画の幅が広がります。

ペルソーダナの注意点

くり返しになりますが、ペルソーダナが可能性を発揮するのはあくまでも発想を広げる目的であり、収束・決定させる目的にはおすすめできません。

また、上記からわかるように、手がかりとなる情報を制限するぶん、写真選びは重要です。髪型や服装、表情などによって「○○って思ってそーだな」「○○してそーだな」は大きく変わります。印象が微妙に異なる写真を何枚か選んで、想像の違いを比べてみるのもよいでしょう。

それから、ブレストと同じく否定しない。間違っても「個人の意見ですよね?」と指摘しない。ブレーキをかけずにとにかく発散するのが、ペルソーダナのポイントです。

と、ここまで経験則にもとづいて書いてきましたが、あまりにも曖昧で、個人差があり、再現性もありません。日々、データを分析している頭のいい人たちからは鼻で笑われそーだな。

 

This is New Perspective

ペルソナの情報を制限することで生まれるアイデアがある。

石塚勢二

CREATIVE DIRECTOR / COPYWRITER

プロダクションにて企業の広告・プロモーションに携わった後、Dynamite Brothers Syndicateに参画。パーパス策定やコンセプト開発から、コミュニケーション戦略の立案、コンテンツの企画・制作まで行う。知性・感性が相手と共鳴する関係を重視。
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