
筆者は、日傘を使い始めて今夏で3年目になります。残暑が続く中、この3年間に感じた周囲の変化と、日傘で意外な効果を得られるかも? という説をお伝えします。
数年前までは自分も多くの男性と同じように、日傘=女性のアイテムで、男性が使うのは不自然だと思っていました。しかし、近年の暑さは異常です。暑さをやわらげるアイテムが目の前にあるのに使わないのは、逆に不自然ではないかと考え、試しに使ってみたのです。
▶︎日傘生活1年目(2023年)
日傘の男は全然いない。ちょっと恥ずかしいな。
▶︎日傘生活2年目(2024年)
まだまだ少ない。でも、これから増えていくはず!
▶︎日傘生活3年目(2025年)
急に増えた!異常な暑さだから、日傘ささずにはいられないよなぁ。
ある調査によると、今年から日傘を初めて購入・利用し始めた「日傘デビュー層」は全体の11.9%。その約半数を男性が占め、特に「30代男性」が突出して多い(23%)という結果に。
ちなみにイオンでは2019年から男性用晴雨兼用傘売り場を設置し、PB「トップバリュ」でも販売を始め、2024年の売り上げは2019年の約7倍に急増したそうです。気象庁は、今年の夏は史上最も暑かったと発表。おそらく今年の売り上げはさらに増えたのではないでしょうか。

(日傘をさす男性たち 2025年夏・都内にて筆者撮影)

(2025年の日傘デビュー層の約半数を男性が占める)
暑さから身を守る日傘ですが、筆者(40代男性)は、別の効果も期待しています。
それは、オジサンの「くさい、怖い、話が長い」対策です。
オジサンといえば加齢臭。
皮脂の中に含まれる「パルミトレイン酸」と、皮脂が酸化して生じる「過酸化脂質」。年齢を重ねると増えるこの2つが結びついて酸化・分解されてできる物質「ノネナール」が、加齢臭の原因成分です。
「過酸化脂質」は紫外線によって生じるので、日傘で紫外線を防ぐことが加齢臭予防に有効だといわれています。
オジサンはただ黙っているだけで、周囲から「不機嫌そう」と怖がられたりするものです。きっと眉間のシワがそう感じさせているのでしょう。
眉間にシワができる原因の一つが、肌の乾燥。水分不足が深刻化すると、肌の深い層までうるおいが失われ、深いシワができてしまうのです。紫外線対策せずに外出すると肌の乾燥を引き起こすため、日傘は眉間のシワ対策に有効といえます。
さらに筆者は実体験から、まぶしさも無関係ではないと考えています。日傘なしでは直射日光がまぶしく、思わず眉間にシワが寄ります。その状態が続くことも、シワが刻まれる原因の一つではないでしょうか。
オジサンはムダに話が長い。そんなイメージはありませんか? 「特に夏場の会議はそう!」と思う人がいれば、次のような悪循環が起きているのかもしれません。
①オジサン社員が外から会社に帰ってくる → ②汗が引くのをしばらく待つ → ③本題になかなか入らず雑談が続く → ④会議時間が減って何も決まらない
もし日傘で暑さをしのいで帰社すれば、会議は定時に始まり、さらに議論が充実して、仕事全体に波及する好循環も生まれるはずです。
男性の中には、「日傘なんかさしてられるか。男たる者、少しくらい日に焼けていたほうが健康的でいいんだ。その方が絶対イケてるんだ!」と声高に主張する人もいるでしょう。しかし、そういう人も、クサいと嫌われたり怒っていると誤解されるのはイヤなはずです。
今年、Netflix「アドレセンス」の影響でマノスフィア(男性がより男らしくなる方法や、異性との関係構築に関するアドバイスを提供するオンラインコミュニティの総称)が話題になったように、ジェンダーや多様性の話題は昨今尽きることがありません。こんなデータがあります。


この回答からわかるのは、男らしさ、特にマッチョイズムは時に生きづらさを感じるほどプレッシャーになるということ。
しかし、そもそも男らしさの正解は一つではありません。かつての「男子厨房に入らず」という言葉が今や死語となっているように、男らしさに対する価値観は常に変化するのですから。もっと言えば、「男は男らしくなければいけない」なんて決まりはどこにもないのです。
明治~昭和中期、富裕層の男性は町歩きの際、絹などの晴雨兼用傘を日よけに使っていました。老舗傘専門店の店主はこう語ります。
「昔は裕福な男性やおしゃれな男性のアイテムだったが、今は猛暑から身を守る目的で、性差を超えた商品になった。『日傘男子』という言葉が死語になる日も近いのでは」
男らしさ、自分らしさ、日本人らしさ、人間らしさ。私たちは生きていくうえで、さまざまな「らしさ」と対峙します。
多くの人が一度は自分らしさについて考え、迷った経験があるでしょう。それほど、らしさというのは大きく、そして漠然としたもの。握りしめ、つかんだと思ったら、形を変え、いつのまにかすり抜けている、まさに影のような存在といえます。
たとえ、らしさの呪縛から逃れようとしても、「らしさの呪縛から逃れようとする人らしさ」が頭の片隅にちらつき、やはり影のようにつきまとうに違いありません。昔こんな歌詞の曲がありました。
あるがままの心で生きようと願うから
人はまた傷ついてゆく
知らぬ間に築いていた自分らしさの檻の中で
もがいているなら誰だってそう
僕だってそうなんだ
そう考えると、深く考えすぎて〝らしさ疲れ〟してしまうよりも、「暑いから」、「流行ってるから」と日傘をさし、あるいは「恥ずかしいから」、「面倒だから」と日傘をささずにいることで、らしさは自然と形成されていくのかもしれません。
以上、コピーライター 石塚勢二でした。
This is New Perspective
らしさは追いかけるものではなく、影のように後からついてくるもの。日傘をさすのも、ささないのも、その人らしさ。
出典:「日傘の利用実態調査2025」(2025年7月30日~2025年8月1日、20~60代の男女1,000名、株式会社ウォーターフロント)、「『男らしさ』という固定観念が男性にもたらす影響について」(2024年10月28日~2024年11月10日、20~60代の男性109名、XTalent株式会社)、読売新聞2025/07/09、ドラッグセイムスコラム、新日本製薬コラム
石塚 勢二
COPYWRITER
プロダクションにて企業の広告・プロモーションに携わった後、Dynamite Brothers Syndicateに参画。大局的な視点に立ち、企業のパーパス策定やブランドのコンセプト開発から、コミュニケーション戦略の立案、コンテンツの企画まで行う。