ウェルネスとは、1961年に米国の公衆衛生医ハルバート・ダン博士が提唱した概念。〝心身ともに健康で、輝くようにいきいきしている状態〟を意味します。
「輝くように」とは、なんなんだ?
そんなツッコミどころはありますが、ある調査によれば日本のウェルネス市場規模は45兆円にものぼり、米国、中国、ドイツに次ぐ世界第4位というから無視はできません。
最近は、健康を追求するさまざまなライフスタイルが生まれています。
しかし、その一方でこんな気持ちの人も少なくないのでは?
「ウェルネス、疲れるなぁ……」
健康のためには、栄養バランスの良い食事をとったほうがいいし、定期的に運動をしたほうがいいし、夜ふかしせず早く寝たほうがいい。
正論です。すべて、私たちは理解しています。頭ではわかっていますが、毎日続けるのは簡単ではないのです。みなさん、そうですよね?
そこで、ウェルネス生活に疲れたら「ゆるネス」。
健康習慣を負担に感じてしまう人に向けて、ゆる〜く楽しみながら続けられるアイデアをご提案します。
近年、第2の脳と呼ばれる腸は脚光を集め、腸活はトレンドになりました。
腸内で細菌が密集する様子は、腸内フローラと呼ばれています。
理想的な腸内フローラの要素として挙げられるのは、「善玉菌が多いこと」、「バランスが良く安定していること」、そして「腸内細菌の種類が多いこと」。専門家は菌の多様性を重視しています。
市販のヨーグルトや乳酸菌飲料をよく見てみましょう。そこに書いてある乳酸菌やビフィズス菌の種類は、商品によって異なります。
もし「いつも同じで飽きてきたな」という場合は、別のヨーグルトや乳酸菌飲料を試してみてはどうでしょう。
「今、自分はいろんな菌をコレクションしているんだ」と思えば、「次はどれにしよう」という感情が芽生え、その連続が習慣につながるしれません。
ポケモンGOのヒット以降、類似アプリが増え、それをきっかけに歩き始めた人も多いでしょう。しかし、歩きスマホは危険です。だからといって、ただ歩くだけでは退屈です。
そこでおすすめなのが、歩いていたら必ず目に入る「表札」に注目するウォーキングです。
ルールはたった一つ。自分と同じ苗字の人を「同じ先祖をルーツに持つ仲間だ」と思うこと。バカバカしいという思いは捨て、強く思い込むのがポイントです。
佐藤さん、鈴木さんなどの苗字でない限り、自分と同じ苗字の表札にはあまり出会えません。そのため、出会えたときの驚きはひとしおです。「ここにも仲間がいるんだな」と。
筆者(苗字は石塚)の場合、「石塚ビル」を偶然発見した瞬間、「おお、自社ビルを建てるまでになったんだなぁ」と、見ず知らずの人に対して、勝手に謎の感慨に浸りました。
要するに、歩くという単純作業をいかにイベント化するかです。
明日早いのに、ついついスマホでドラマや映画。そんな経験、みなさん一度はあるはず。
先の読めない展開で目が離せない作品が人気ですが、それらよりもはるかに予測不能なストーリーがあります。そう、夢です。
ご存じのとおり、夢はコントロールできません。でも、だからこそストーリーが予定調和に陥ることはなく、退屈しません。
制作者は自分、観客も自分ひとりだけなので、コンプライアンスとも無縁。何をしても自由です。
まるで現実の出来事のように没入できる体験が、無料で見放題。
ほかのどのコンテンツとも違う、個性的なエンタテイメントだと思いませんか?
仮に悪夢だったとしても、脳がリハーサルしてくれたとポジティブに捉えてみましょう。悪夢は、日中起こりえるストレスイベントに対する耐性を高める予行演習だ、という説も発表されています。
あくびしながらドラマや映画を鑑賞するくらいなら、いっそ寝ましょう。
夢=エンタメで、楽しみながら健康になる一石二鳥が実現するのですから。
ここまで、3タイプのゆるネスを紹介しましたが、要するに「物は考えよう」。考え方次第です。
注意したいのは、頑張らないこと。
今回のゆるネスを試したとしても、それを日々のタスクと位置づけ、義務感を抱きながらやっていては長続きしません。
続けること(持続可能性)が大事なので、つまらなければ無理せず、やめる。楽しみながらできる別の方法を探しましょう。
ヨーグルトやスニーカーや寝具など「プロダクト」自体をデザインするのではなく、行動や思考など「プロセス」をリデザインして、ウェルネスを達成する。デザインが活躍する余地は、まだまだありそうです。
This is New Perspective
続けるのが大変でも、視点を変えるだけで楽しくウェルネスに近づける。
石塚 勢二
COPYWRITER
広告制作会社で多くの企業の広告、プロモーションに携わった後、入社。コピーライティングに限らず大局的な視点に立ち、ブランドのコンセプト開発からコミュニケーション戦略の立案、動画・音声コンテンツの企画・シナリオ設計まで行う。