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Designer’s Illustration File デザイナーに聞く「私のイラストの描き方」

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2025.7.3

Dynamite Brothers Syndicateのメンバーの中で、イラストを得意とするデザイナーに話を聞くこの企画。今回スポットを当てるのは、デザイナーの牧野未来です。作品の描き方から、得意なジャンルやタッチ、影響を受けた作家まで、ちょっとマニアックなイラストトークをお楽しみください。

 

——:どんなジャンル、タッチのイラストが得意ですか?

牧野:テーマによって世界観を変えているのですが、どのイラストも温かみがあるという点でつながっているように思います。小さい頃から家にいるぬいぐるみをずっと描いていたからか、気づけばキャラクターや柔らかさのあるイラストを描くのが得意になっていました。タッチや質感は、テーマに合ったものをいつもわくわくしながら探しています。

大学生の時に1日1枚描くという課題で、クラフト紙に色鉛筆で描いていたさまざまなテーマのイラストたち。なるべく早く描いていたのでイメージをそのまま絵に描き起こす力がついた気がします。

 

——:好きなイラストレーターや影響を受けた作家はいますか?

牧野:本当にいろんな方から影響を受けていると思うのですが、あえて言うなら堀内誠一さんとアルフォンス・ミュシャです。

堀内誠一さんの展示を見て、絵を描くこと自体の考え方を変えさせてもらえました。私自身、欲張りでいろんな雰囲気の絵を描きたくなってしまうタイプなのですが、そのぶん自分の世界観を絞れていないことにどこか引け目を感じていました。堀内さんの展示を見たとき、テーマによっても描き方を柔軟に変えて無数に絵の世界観を持っている方だと知って、「何か一つに絞らなくてもいいじゃん」と自信を持てるようになりました。堀内さんのようにクオリティ高くとはまだまだいかないですが、自分の持つそれぞれの世界観を大事にしていきたいと感じています。

アルフォンス・ミュシャの絵は中学生のときに行った展示で実物を初めて見て、女性と曲線の美しさに魅了されました。それまで触れてきた少女漫画やアニメの女性像とは違って、神秘的で強い眼差しを持った女性像が衝撃的だったんです。それから女性を描くときは、芯の強さやしなやかさを持つ人をイメージして描くようになりましたね。

他には荒井良二さんの瑞々しい色使い、酒井駒子さんの人の柔らかな輪郭、フィリップ・ワイズベッカーさんの平面的に捉える面白さ、身近な友達や先輩のイラストなどが自分の絵に影響を与えていると思います。

新しい薬味のPRを考えるという課題で制作したイラスト。薬味三兄弟と名付け、薬味の身体への効能を楽しく伝えてくれるPRキャラクターとして制作しました。一度デジタルで描いたものを和紙にプリントアウトして輪郭を手でちぎってスキャンしています。和紙の種類や、ちぎり加減を試行錯誤していく時間は楽しくて、よく見たときに薬味の繊維感が伝わるようにこだわりました。

 

——:イラストを描くスキルと、普段のデザインに共通点はありますか?

牧野:イラストで培ってきたイメージを起こす力は、デザインの感覚的な面で生かせると感じています。

頭の中のイメージを目指しながら描いては消してを積み重ねていく地道な作業や、時には描かれた線に引っ張られてイメージが変化していったりと表現を試行錯誤してきた時間が、デザインをする自分の大事な土台になっています。

逆にデザイン的な思考が、描いているイラストに影響を与えることもあって、デザインを本格的に学び出してからは要素を削ったり、昔よりシンプルな画面に変化しているように思います。まだ自分自身のイラストもデザインも発展途上なので、相互に影響を与え合いながら成長していけたらと思っています。

牧野未来

ASSISTANT DESIGNER

大学で幅広い分野のデザインを学ぶ中でブランディングデザインに心惹かれ、新卒で入社。展示、本、音楽などから様々な感覚をインプットすることで、デザインや趣味のイラストのインスピレーションをもらっている。媒体に左右されず、目的にあった感覚を引き出せるデザインを目指し、日々邁進中。

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