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頭だけでなく視点も回転させてみては

722View
2023.10.27

以前読んだヨーロッパの記事で、奥さんの「日差しが入る寝室が欲しい」と言うリクエストを聞いて家を建てたのにも関わらず、そのせいで居間が道路と反対側になり、訪ねてくる人が見えないと不満を言われたそうです。そこで、旦那さんはなんと電気モーターを使って360度回転できる家にリノベーションして、日差しが入る寝室と訪ねてくる人が見える居間の両方を実現しました。

 また違う話ですが、Googleが社員食堂の食料廃棄を減らすために、従来のお皿より約2.5cm小さくしたところ、食べ残しが7割減ったそうです。

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 前者は大胆かつ労力も必要とする解決策ですが、Googleはお皿のサイズを変えただけで問題を解決しています。問題自体違いますが、前者の問題が起きた時に奥さんのリクエストに合った土地を見つけて引っ越すこともできたでしょうし、居間側にモニターをつけて来客を確認することもできたかもしれません。

 ここまでは効率的な視点でのアイデアの良し悪しの話ですが、効率とは違う視点から見ると、そのアイデアを考えた人の思いに気がつきました。
前者の記事の最後に、「もし話したくない人が家にやって来るのが見えたら、家を回転させてドアをその人から遠ざけることもできる」とジョークを言っていました。私はこの部分がとても興味深いと思いました。

どのような感情や状態になるためのアイデアなのか?

これはジョークだとは思いますが、先ず思考が柔軟じゃないと、そんな事は言えないと思いました。私なら、せっかく奥さんのリクエストを聞いて建てたのに、何故文句を言われるのかと思ってしまいます。その時点で思考は停止し、アイデアは出ません。そればかりか、夫婦関係にも問題が出てしまいかねません。最初は夫婦で幸せになるために奥さんのリクエストを聞いたのに、これでは本末転倒です。                                        アイデアは問題解決でもありますが、コミュニケーションリソースとして重視する事が大事です。そのためには、最終的にどの様な感情や状態になるためのアイデアなのかということを意識することが重要になります。最後のジョークを思い返してみてください。その夫婦はとても幸せそうです。

 今は家にいながらネットで買い物ができ、旅行には大量の本や音楽をデータで持って行ける便利で効率的な時代になりました。一方で、snsで見かけるモーニングルーティンではコーヒー豆を引いてゆっくり回しながら、湯を落として淹れている光景を見かけます。一部ではレコードも流行っていると聞きます。

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 効率を上げる事で生活は便利になりますが、未だにそういうことが好まれるというのは、人々はそのような行動からもたらされる感情や状態を求めているからです。アイデアは経済的なことから、ついつい効率視点になりがちな気がします。それ以外にも、様々な観点から考えてみると新しい発見が出来ます。手間暇はかかっても、人々の感情や状態に起因出来ることが大事だと思います。奥さんのために家をリノベーションしたアイデアは、まさに視点を回転させた非効率な視点から発想して、家まで回転させてしまいました。

野口 孝仁

PRESIDENT & CEO / CREATIVE DIRECTOR

1999年、株式会社ダイナマイト・ブラザーズ・シンジケート設立。「ELLE JAPON」「装苑」「GQ JAPAN」「Harper’s BAZAAR日本版」「東京カレンダー」「FRaU」など人気雑誌のアートディレクション、デザインを手がける。現在はエディトリアルデザインで培った思考を活かし、老舗和菓子店やホテル、企業のブランディング、コンサルティングなど積極的に事業展開している。 著書「THINK EDIT 編集思考」(日経BP) 講師宣伝会議「アートディレクション養成講座」「編集物ディレクション講座」「デザインシンキング実践講座」など多数

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