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【ウェビナーリポート】今話題のK-Beautyブランド成功の理由に、アートがあった?

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2024.5.24

5月15日(水)、トレンダーズが手がける美容特化型イノベーションファーム「ampule」の南 殷善 (ナム ウンソン)さんと、ダイナマイト・ブラザーズ・シンジケートのクリエイティブディレクター、高木裕次による限定公開ウェビナー「ブランディングとアートマーケティングの融合:成功事例に見る鍵」が開催されました。テーマは、「ブランディングとアートマーケティングの融合」。
今話題のK-Beautyブランドの成功の裏側に、「アート」を使ったブランディングがあることを紹介。なぜ「アート」がブランディングに有効なのか、また、ブランディングに「アート」を取り入れるにあたっての考え方を解説しました。

南 殷善 (ナム ウンソン)
トレンダーズ ample Div.プランナー 韓国の大手beautyストアで、約3年間働いていた元美容部員。自他ともに認める美容オタク力・知識量・美容業界の流れを読む分析力を活かして、ampule magazineの企画等、様々な AMPULEのPR活動に従事している。

高木裕次 (たかぎ ゆうじ)
ダイナマイト・ブラザーズ・シンジケート CREATIVE DIRECTOR / ART DIRECTOR                               good design companyを経てダイナマイト・ブラザーズ・シンジケートに参画。ライフスタイルを中心とした多種多様な分野で「人を動かすデザイン」を目指し、アートディレクションにとどまらず、ブランディングを軸としたコミュニケーションデザインに携わっている。

 

話題のK-BeautyブランドTamburinsに見る「アート」の使い方

モノが溢れる今の時代、もはや品質や価格だけで勝負するのは難しく、企業にとって、ブランドやサービス、商品の差別化、つまりブランディングが重要な課題となっています。そんななか注目されているのが、「アート」を用いたブランディングです。特に韓国の美容業界(=K-Beauty)では、ブランドの世界観やメッセージをアートによって訴求することで、ファンを増やす成功例が続出しています。

その代表格とも言えるのが、今年3月、東京・青山での日本初のフラッグシップストアオープンが話題となった「Tamburins(タンバリンズ)」です。卵型のパッケージが人気の香水「エッグパフューム」をはじめ、ハンドクリームやボディケアアイテム、キャンドルなど、香りを軸にした製品を展開しています。

「Tamburins」が特に力を入れるのが、店舗の空間演出だと南さんは言います。本国のフラッグシップストアは、まるで美術館やアートギャラリーのよう。SNSでも話題になり、ユーザーは、商品を買いに行くというより、その場所に行くことが目的になっているようにも見受けられます。しかし、それこそがブランディング成功の鍵だとも南さんは語ります。

他にも、アート要素の強いパッケージやキービジュアルにこだわるK-Beautyブランドを紹介。SNSやネットなどWEB上で情報収集することがメインとなった今、そのものの魅力を直感的に伝えるパッケージやビジュアルの果たす役割はより大きくなっているのでは、と南さんは分析します。

意外な共通点に驚き。ブランディングを「アート」で紐解くと?

そんなK-Beautyのアートマーケティングの成功の理由として、南さんは、「Tamburins」の代表のある重要な発言を紹介。続いてそれを裏付けるブランディングに重要な仕組みとアートの関係を、高木が解説しました。

まず取り上げたのが、ブランディングに必要な3要素についてです。これまでさまざまな企業や商品のブランディングに携わる中で見出したという、その3要素がすべてつながってこそ、良いブランディングができると語ります。

話の中で印象的だったのが、「マズローの欲求5段階説」を使った消費者の心理の解説です。基本的な欲求が満たされている現代において、消費者が重視するのは、「自己実現欲求」にではないかと高木は考察。そもそもアートとは、自己実現を伝える手法でもあり、また社会とつながり、そこにある問題を提起する手段でもあります。「アートを通じてブランドの思想や哲学、社会に伝えたいメッセージを代弁することができる」と語ります。

さらに、著名な画家やアーティストの偉業を取り上げ、それをブランディングに置き換え、紐解いていきます。そこから浮かび上がるのは、記憶に残るアートも、売れるブランディングも、その裏側にある仕組みは一緒だったのだということ。意外な共通点が見えてきました。

 

今の時代だからこそ、「アート」がブランディングの可能性を広げる

最後に、再び「Tamburins」の貫く独自のアートマーケティングに注目。高木は、「型にはまらない美しさを追求する、香りのコスメブランド」というブランドコンセプトは、まさに“型にはまらない美しさ”を追求してきたアートの概念そのものだと指摘します。「ビューティー(美容)が、心に豊かさを与えるものならば、アートが持つ普遍性や新しい視点というのは、消費以上の価値や、心の豊かさを生み出せるものじゃないかなと思います」

たとえ消費されるモノであっても、アートという概念が組み込まれることで、そこには五感を刺激する体験が生まれ、モノにモノ以上の価値が与えられるのではないか。高木の言葉に南さんも頷きます。

今回のウェビナーを通じて、今の時代になぜ「アート」を使ったブランディングが、多くの人の心を掴むのか、その理由が見えてきました。社会のデジタル化、パンデミック、SDGs、円安不況…時代と共に、消費者の意識も大きく変わり続ける中で、ブランディングはますます重要なものになっています。そんななか、独自のアートマーケティングを貫くK-Beautyブランドに学ぶことは多いのではないでしょうか。

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